第10章 信用させて
エマは菜園の手入れを終え、
基地へ向け歩き出す。
その道中、今までのリヴァイの行動を
思い起こしていた。
自分がリヴァイと身体の関係を
持てなくなった次の日から
リヴァイの行動はおかしくなり、
女性の影が見え始めた。
そして、実際に女性を抱きしめ
キスをしている場面を目撃し、
しかも訓練に遅れて来ていたことから、
その女性と夜を共に過ごしていたことを知る。
「……何だこれ。
疑いどころか、もう確信しかないんだけど……」
泣く気も失せるほどに、
考えることに疲弊しつつあった。
今日こそはリヴァイと冷静に
話し合うつもりでいたが
今の話を聞いて、またじわじわと
不穏な感情が湧き出してくる。
その時、
「エマ。」
後ろから声を掛けられ、
エマは振り向く。
「………リヴァイさん。」
声の主は、できることなら
この不安定な気持ちの中、
一番会いたくなかった人物だった。