第68章 約束の桜
ダグに背中を押され、
教会の横に設置された小さな小屋に入ると
「エマ!やっと来たの?早く用意するよ!」
そう言って出迎えたのはサラだった。
「もうここまで来ると、
ここにサラがいても驚かないよ……」
「なに、その不満気な顔は。」
「だって私だけ何も知らないまま、
ここまで誘導されてるんだよ?」
「それより、プロポーズがまだなことが
不満なんでしょ?」
ニヤついたサラの一言に、
エマは言葉を噤む。
「まぁそうだよね。
順番がおかしいとは思う。」
「でしょ?
プロポーズされるのだって、
結構楽しみにしてたのになぁ。」
「でもリヴァイ兵長は殆ど一年前から、
この計画を進めてたんだから。
かなり気持ちは籠ってると思うよ?」
サラはそう言いながら、
柔らかいチュール素材で作られた
プリンセスラインの
華やかなウエディングドレスを
エマに差し出す。