第68章 約束の桜
「エマさん。
この日を心待ちにしておりました。」
その直後、
声を掛けてきたのはダグだった。
「ダグさん!
リヴァイさんが招待していたんですか?」
「ええ。
わざわざ宿まで足を運んでくれて、
そこで招待を受けました。」
ダグは嬉しそうに微笑む。
「……私、今の今まで、
何にも知らされてなかったんですけど……」
「兵長は不器用ですからね。」
「不器用にしても、
プロポーズすらまだなんですよ?」
エマのその言葉に、
ダグは肩を震わせて笑うと
「驚かしたかったのでしょう。」
そう言って緩んだ表情をエマに向けた。
「式の後の立食パーティーの料理は、
私が作らせて頂きました。」
「え!そうなんですか?!
でも、式の後のことだって何も」
「エマさん。この式が終わってから、
兵長の一方的な計画への不満を聞きましょう。」
ダグは不服そうなエマの顔を見ながら
言葉を遮り、
エマに笑いかけた。