第68章 約束の桜
ジャンはエマの耳に顔を寄せると、
「兵団が資金不足なのに、
特設教会建てる金なんて無いに決まってんだろ?
リヴァイ班は訓練とは名ばかりの建設活動に
日々コツコツと励んでたんだよ。」
小声でそう言って、
これ見よがしにため息を吐いて見せた。
「なんか、ほんとごめん……」
「いや、そんなに大層なもんでもないしな。
それよりありがとうの方が嬉しいんだけど。」
ジャンは頭を下げるエマの髪を
くしゃくしゃと撫でる。
「……ジャン、ありがとう。
リヴァイ班のみんなにも、後でお礼言うよ。」
エマの言葉を聞いて
ジャンは嬉しそうに微笑み、
「教会で待ってるから。」
と、エマに背を向け、教会へ入って行った。