第62章 夢を叶える為に必要なもの
「私は相変わらず仕事が忙しいだろうが
休みが取れたら、必ず家族でどこかへ行こう。
山でも川でもいい。
たまには家でゆっくりするのもいいな。
………その時には、
壁の向こうに行けるようになっている
可能性だってある。」
エマは目を瞑り、
そんな光景を想像し始めた。
「君はきっといい母になる。
……だが、君が母になったとしても
私は変わらず君を
恋人の時と同じように愛し、
今よりもっと、甘い言葉だって囁く。」
思わず頬を緩めたエマの頭を
エルヴィンは優しく撫でると、話を続ける。
「君が隣にいてくれるなら私はそれでいい。
今、これだけ子どもの話をしてみたが
もし子どもができなくても
それはそれで、君となら幸せな生活が
送れることは確信しているんだ。」
エルヴィンは少し息を吸うと
そっとエマの手を握った。