第62章 夢を叶える為に必要なもの
黒幕の先には、
部屋の一辺を覆うほどの大きな窓があった。
そこから見える満天の星空は、
まるで立派な額縁に飾られた
絵のように美しく、現実離れしており
ただひたすらに眩い輝きを放つ満月は
何に遮られることもなく
自由にこちらを見つめているようだった。
「普段は本が傷むから、
ここの幕は開けないんだ。
夜は開けても問題ないんだが、
窓自体が大きいから、
また幕を閉じるのが面倒でね。」
エルヴィンはそう言って少し笑うと
エマの手を離し、窓枠に手を突く。
「……こんな素敵な夜空が眺めるなら
幕を閉じるのくらい私が手伝いますよ。」
エマは感極まった溜め息を吐いた。