第62章 夢を叶える為に必要なもの
その時、治療室のドアが静かに開いた。
「エマ。一緒に来てくれるか?」
ドアから顔を覗かせたエルヴィンは、
優しい表情でエマに声を掛けた。
エルヴィンに連れられて着いた先は、
エルヴィンの書庫だった。
エルヴィンは明かりをつけることもなく
暗闇に包まれている部屋に入る。
エマはエルヴィンに
手を引かれるがまま、後に続いた。
「……真っ暗だと、危なくないですか?
本棚にぶつかりますよ?」
エマは思わず手探りしながら歩く。
「大丈夫だ。
どこに何があるかくらい、身体が覚えてる。」
エルヴィンは
挙動不審に動くエマの手を握り、
少し笑った。
そして、突然立ち止まると
「ここは意外と景色がいいんだよ。」
そう言って、黒い幕をゆっくり開ける。