第61章 一生のお願い
「……もう桜散りましたよ。
お蔭さまで今年も見れずに終わりました。
来年こそは、
連れて行ってくれるんですよね?」
何で自分だけが
こんなに話しているんだろう。
相槌すら打ってくれない相手に
こんな問いかけをして、
何になるんだろう。
「……ねぇ、ほんとに、
そろそろ限界なんですけど……」
思わず涙が込み上げる。
だが、大きく息を吸い込み、涙を堪えた。
リヴァイがこの状態になってから
涙はまだ流していない。
理由は簡単だ。
おかえりなさい、を言いたい。
ただいま、を聞きたい。
そこで初めて、
リヴァイの胸の中で涙を流したい。