第60章 荒療治
それから二人は、静かに
リヴァイの様子を見守っていたが
エルヴィンはゆっくり口を開く。
「エマ。少し真面目な話をするが、いいか?」
突然“団長”の声になったエルヴィンに、
エマは少し不安を感じつつ
小さく頷いた。
「……自発呼吸があるといえども、
このままの状態が、あと一週間も続けば
元々疲弊している彼の身体は、
限界を迎える可能性が高くなる。」
エルヴィンは、
俯くエマを見つめながら話を続ける。
「残された時間は少ない。
それまでに目を覚ます可能性もあるが、
……最悪の事態に対する心の準備も
しておく必要がある。」
エマは小さく息を吐くと、
強く拳を握りしめた。