第60章 荒療治
「……やっぱり反応するんだな。」
リヴァイの手は、
これまででは考えられなかった程の強い力で、
エマの手を握り締めている。
「…はぁっ、…ん、いや、偶然かも、
知れないです、けどっ……」
まだ呼吸が落ち着かないエマが、
やっとそう言うと
「偶然にしてはタイミングが良すぎるだろう。
ここで君を抱けば、
目を覚ますんじゃないのか?」
エルヴィンはそう言って
エマを引き寄せた。
「ま!ちょ!ちょっと落ち着いてください!」
焦った表情で声を上げるエマを見て
エルヴィンは思わず吹き出し、
「すまない、さすがにこれは冗談だ。」
と、肩を震わせて笑う。
「……だからエルヴィンさんの冗談は
精度が高すぎて、
私には見抜けないんですってば……」
エマは大きくため息を吐いた。