第60章 荒療治
だが、それから一週間たっても
リヴァイが目覚めることはなかった。
時々手を握り返す反応は見られるが
それ以上の反応はなく、
無情にも時間だけが過ぎて行く。
「エマ。お疲れさま。」
エルヴィンは治療室に入ると、
エマに声を掛ける。
ここ一週間、
エルヴィンは毎日仕事終わりで
リヴァイの様子を見に来ていた。
「エルヴィンさん。
お疲れさまです。
今日は少し早いですね。」
エマは壁の時計に目を向けた。
「ああ。そろそろ落ち着いてきた。
お蔭さまで、
まだ書類は片付きそうにないがな。」
エルヴィンはそう言いながら、
リヴァイを横目で見る。
「……もしかして、
この面倒な書類が終わってから
目を覚ますつもりか?」
エマはエルヴィンの発言に
少し笑うと、
「やり口がズルいですね。
早く起きてくれないと、
本当にエルヴィンさんが過労で倒れますよ。」
リヴァイにそう呼びかけた。