第58章 生きて
二人きりになった治療室で
エマはベッド脇にある椅子に座り
リヴァイの顔を覗き込んだ。
そして、
「顔は、綺麗なままですね。」
と、リヴァイの頬にそっと触れる。
あまり体温を感じられないのは
きっと自分の手が熱いからだろう。
そう思い、小さく息を吐いた。
「こんな回りくどいやり方で
私の気を引こうとするの、やめてくださいよ。
さっさと起きてくれないと、
乗り換えちゃいますよ……」
リヴァイの手を握ると、
頬よりも暖かさを感じられた。
生きている。
今はその事実だけで十分だ。
「……取りあえず、
生きて帰ってくれて
ありがとうございます。」
そう言うと、リヴァイの手を
自分の頬に当てた。