第58章 生きて
「取りあえず、話を聞いてくれ。」
エルヴィンはエマの手を引き
部屋に入れてドアを閉めると、
その場に立ち止まったままで話し始めた。
「今回の壁外調査で、
大型巨人に何体も出くわしたらしい。
その中には奇行種が多く、
何故か彼が集中的に狙われたという
報告を受けた。」
エルヴィンはそっとエマの肩を抱く。
「現状をハッキリ言うと、
彼は両腕を骨折している。
それと同時に、頭を強く打ち、
脳挫傷による意識不明の重体だ。」
エルヴィンはエマから手を離すと
ベッド脇まで歩み寄り、
「だが、まだ完全に助からないと
決まった訳ではない。
自発呼吸はある。
反応はないが、もしかしたらこの会話も
聞こえているのかもしれない。」
と、ベッドに手をついた。
エマは大きく息を吐くと、
エルヴィンの側に行き、
「……要するに、危ない状態だけど、
“生きてはいる”ってことですね。」
と、ベッドに横たわる
リヴァイを見つめた。