第58章 生きて
「ああ。生きている。」
エルヴィンはそれだけ言うと、
ベッド脇に屈みこむ。
「いつこんな事態が起きても
おかしくないとは思っていたが、
実際リヴァイ程の兵士がこうなると
さすがに堪えるな。」
エルヴィンはリヴァイを見つめ
小さく笑った。
「エマ。
かなり冷静な反応だが
私に気を遣っているのか?」
エルヴィンはそう言うと、
ベッド脇で立ち竦んだままの
エマの手をそっと握る。
「……いえ。
でも、予感みたいなものが
あったのかもしれないです。」
エマはエルヴィンの隣に屈んだ。
「だって、おかしいと思いませんでしたか?
調査の出発前、リヴァイさんが
あんな大胆な行動に出るんですよ?」
エマは動揺を隠すように、頭を掻く。
「………リヴァイさん、
何か感じてたんですかね。」
エルヴィンはエマを抱き寄せると、
「リヴァイに何か予感があったなら、
君にプロポーズなどするはずないだろう。」
そう言って、ため息を吐いた。