第58章 生きて
それから数日後、
調査兵団は壁外調査から帰還する。
毎回のことながら、
料理人も兵士の手当てに追われ
食事の準備もままならぬまま
エマも治療室と化した講堂で
治療の手伝いに当たっていた。
『今回は、まだ会えてないな……』
エマは兵士の手当てをしながら
ジャンのことを思い浮かべる。
この兵団に来てから
軽い傷ならジャンの処置は、
殆ど自分がしてきた。
不安な気持ちが頭を過り、
それを振り払うかのように
小さく首を横に振る。
その時、
「エマ。来てくれ。」
講堂に入ってきたエルヴィンに
声を掛けられた。