第55章 作戦の上の作戦
だが、エルヴィンの穏やかで優しい匂いは、
エマの心に大きく揺さぶりをかけてくる。
『……落ち着け……取りあえず冷静になろう。
ここで抱きしめ返したら、
もう先に進むしかなくなる。』
湧き上がりそうになる淫欲を
抑えつけようと、固く目を瞑り
「エルヴィンさん、やっぱりダメです。
ここで身体を許してしまうと、」
そう言いかけて、
エルヴィンの唇が首筋にキスを落とす。
柔らかく温かい唇の感触が
首筋を火照らせ、身体が小さく跳ねた。
「……今日は強情だな。
まだしたくはならないのか?」
耳元でそう囁かれると、
再び一気に身体が熱を帯び、
じわじわと淫欲の波が襲ってきた。