第55章 作戦の上の作戦
その時。
エルヴィンは急にエマを離し、
時計を確認した後
「エマ。誕生日おめでとう。」
と、エマに笑いかけた。
一瞬言葉を失ったエマだったが、
「……え、今日、私誕生日なんですか?」
と、気の抜けた声を出す。
エルヴィンは小さく笑ながら
エマの身体を起こすと、
「君も自分の誕生日は
覚えていなかったんだな。」
そう言ってベッド脇から花束を取り出し
「君の誕生日を
一番に祝うことが出来て良かった。
受け取ってくれるか?」
と、エマに差し出した。
「……ありがとうございます。」
エマはエルヴィンに微笑み返し、
花束を受け取った。