第52章 大胆に
「……はい。
もう揺らがないとは思ってますが、
この調査中にエルヴィンさんと
何があるか分からないので、
まだ保留にしてます………」
あまりに明解な答えに、
エルヴィンは思わず吹き出すと
「そうか。それならまだ私にも、
君の心を揺さぶる権利はあるってことだな。」
そう言ってエマに顔を近付けた。
エマは思わず
エルヴィンから目を逸らすが、
「……だが、私はもう君の心を揺さぶろうとは
考えていないんだよ。」
その一言を聞き、
再びエルヴィンに目を向けた。
「今の君が、今までで一番幸せそうだ。」
エルヴィンはそれだけ言うと、
食堂の椅子に座った。
思い返してみれば、
リヴァイとあのログハウスの宿に泊まって以降、
エルヴィンに誘われたことはなかった。