第52章 大胆に
『エルヴィンさんは、
私の気持ちの変化に気付いてたのか……』
エマはそう思いながら、
「私って、そんなに感情が
顔に出てますかね……?」
と、エルヴィンに問いかける。
エルヴィンは少し笑うと、
「ああ。
君は誰よりも分かりやすいからな。」
そう言って机に頬杖をついた。
「だが、そのお蔭で少し吹っ切れたよ。
君が5年前の時のように真っ直ぐに
リヴァイだけを見るものだから、
ここで私が邪魔するのは、野暮だと思ってね。」
エルヴィンはそう言って
エマの目を見つめ、
「今私が君の心を揺さぶりにかかったとして、
もし君がそれで心揺らぐのなら、
きっとそれは私に対する愛情ではない。
ただの優しい同情だ。」
と、エマに穏やかな表情で笑いかけた。
エマは何も言えず、顔を伏せる。