第9章 活力の部屋、希望の人、
だが、
「……どうした?」
エマに服を掴まれ、立ち止まる。
「……一人で居たくないです。」
エマのその言葉を受け、
エルヴィンはエマの方に向き直る。
「一人で居ると、おかしくなりそうです……」
エマはそう言うと、
エルヴィンの服を強く握りしめた。
「……君にそんなことを言われて
断れるはずがない。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの肩に手を置く。
「だが、それがどういう意味か、
君は分かっているのか?」
エマはその言葉に反応し、
少し顔を上げた。
「もう私と君は、何もなかった関係ではない。
私が君の部屋に入るという事は、
また関係を持つという事になるが。
それは君の本意か?」
エマは少し沈黙した後、
ゆっくり息を吐く。
「……これじゃ、リヴァイさんのしてた事と
何ら変わりないですね……」
エルヴィンは少し笑うと、
エマの肩を抱いた。
「大丈夫だ。
君は今、冷静に判断できた。」
「すみません……
私も大概どうしようもないですね……」
「今日は仕方ないだろう。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの手を引き歩き出した。
「エルヴィンさん?」
エマはエルヴィンに引かれるがまま、
歩き出す。
「今日はどうせ部屋に帰っても
なかなか眠れないだろう。
それなら少し、私に付き合ってもらいたい。」
エルヴィンはそう言って、
エマに笑いかけた。