第9章 活力の部屋、希望の人、
エルヴィンとエマは基地に戻り、
食堂の前で立ち止まる。
「取りあえず、
今日は早く休んだ方がいいだろう。」
エルヴィンは憔悴しきったエマの表情を見て、
優しい声で言った。
「これからのことは、ゆっくり考えなさい。
もしかしたらリヴァイから何らかの話が」
「もう聞きたくないです。」
エマはエルヴィンの言葉を遮る。
「だが、あの状況だけで判断するのは
やはり難しいよ。」
エルヴィンはエマの肩を掴んだ。
「さすがに今すぐには
冷静になれないと思うが、
もう少し落ち着いて考える必要がある。
リヴァイの行動には、
何か意味があるんじゃないのか?」
「もう、考えたくないです……」
エマは俯くと、片手で口を覆った。
「……すまない。
今の精神状態の君に、
こんなことを言っても仕方ないな……」
エルヴィンはエマの髪を
そっと撫でると、
「エマ。部屋まで送ろう。」
そう言ってエマの手を引き、歩き始めた。
エマの部屋の前に着き、
「今日は何も考えず、休めばいい。」
エルヴィンは優しく声を掛ける。
エマは何も言わず頷いた。
「私はやはり彼の行動が気になる。
少し探りを入れてみるよ。」
エルヴィンはエマの頭を優しく撫で、
「おやすみ。」
と、エマに背を向け歩き出した。