第52章 大胆に
それから数週間後、調査兵団は壁外調査へ出る。
エマは街まで兵団を見送りに来ていた。
「こうして見てみると、
やっぱり調査兵団の兵士はかっこいいね。」
一緒に見送りに来ていたサラは、
エマの横で、呟くように言う。
「そうだね……」
エマはそれだけ返事をすると、
リヴァイの後姿を見つめた。
すると、リヴァイは突然後ろを振り向き、
エマと視線が合った途端、
エマの元へ馬を歩かせる。
そしてエマの前に来ると、
リヴァイは馬から降りた。
「リヴァイさん、そろそろ出発ですよね?」
エマは周りの様子を窺いつつ、
小声でリヴァイに話しかける。
「そうだな。」
リヴァイはそう言うと、
エマを強く抱き寄せた。
エマは驚きながらも、
反射的にリヴァイの腰に手を回し、
「私は大丈夫です。
期待して存分に戦ってきてください。」
そう言ってリヴァイに笑いかける。
リヴァイは優しい表情で
エマの髪を撫でると、
「ああ。」
それだけ言って、
エマにゆっくり唇を重ねた後、
またすぐ馬に跨り、
兵団の最前列に戻って行った。