第8章 納得したくない確証
「エルヴィンさん。もう無理です。」
エマは勢いよく立ち上がり、後ろを向く。
「エマ。
彼はまだ屋敷に入っていないが。」
「……あそこまでしておいたら、
屋敷に入らなくても確定じゃないですか?」
エマの声は少し震えていた。
「私にはまだ、リヴァイの行動の意味が
理解できていないんだが……」
エルヴィンは小さく息を吐くと、
馬の手綱を持ち、立ち上がる。
「もういいです。
理解する気にもなれないです。」
「私はまだ納得できないんだ。
リヴァイはあれだけ君のことを想っていたのに、
他の女性に手を出すなんて」
「エルヴィンさん。」
エマはエルヴィンの声を遮ると、
「いいんです。帰りましょう。」
そう言って、エルヴィンの腕を強く掴んだ。