第48章 最初で最後の
馬から降り、細い山道を歩いて行くと、
徐々に周りは背の高い木々に囲まれていく。
息を大きく吸いこむと、
心が落ち着くような、穏やかな匂いがする。
ヒノキの匂いだろうか。
エマはこのおおらかな雰囲気に癒され、
思わず背伸びをした。
しばらく歩いて行くと、
「今日泊まるのはあそこだ。」
そう言って、リヴァイは
赤い屋根のログハウスを指さした。
ログハウスに近付くと、
かろうじて分かるくらいの、
小さな宿の看板が出ている。
「こんなところに宿があるんですね。」
「ああ。こんな寂れた場所だから、
客は殆ど来ねぇがな。」
リヴァイはそう言うと、
宿のフレンチドアを静かに開けた。