第8章 納得したくない確証
「エルヴィンさん、
でも、もうどこに行ったか
分からないですよね?」
エマはエルヴィンの腰に手を回し、
少し声を張って問いかける。
馬はエルヴィンの手綱捌きで、
ますますスピードを上げた。
「大丈夫だ。
きっと彼女の屋敷にでも行くのだろう。」
エルヴィンはそう言って、
エマを横目で見た。
「……エルヴィンさん、
さっきの女性とも関係あるんですか?」
「いや。それはないが、
大きな屋敷に住んでいる女性のことは
なるべく把握するようにしていたからな。」
エルヴィンは少し笑い、手綱を強く握った。
大きな屋敷の手前で、
馬は勢いを殺して止まる。
エマは落ちないように、
必死でエルヴィンにしがみ付いた。
「エマ。
急いだ甲斐があったようだ。」
エルヴィンの視線の先には、
さっきリヴァイと女性が乗り込んだ馬車が、
丁度屋敷の前で止まるところだった。