第46章 油断と出来ない理由
「真面目に話はしていたが、
君にキスをしたくなったから
したまでだよ。」
「……ナイル師団長と、
やってること変わらないじゃん。」
エマは独り言のように
ボソッと呟くと、
「そんなことはないだろう?
君は私に全く気がない訳ではない筈なんだが。」
エルヴィンはそう言いながら、
エマの顔を引き寄せた。
「……耳、良すぎるんですけど。」
「愛している女性の声は、
特別よく聞こえるみたいだ。」
平然と言ってのけるエルヴィンから
目を逸らしたまま、
エマは無意識に赤面した。
「そんな顔をされると、
また期待してしまうんだが。」
「エルヴィンさんが、
そういうこと普通に言うからですよ……」
「言わなければ、
君は意識してくれないだろう?」
エルヴィンはエマの手をそっと握ると、
「早く君の恋人に戻って、君を束縛したいよ。」
冗談めかしてそう言い、
エマに笑いかけた。