第46章 油断と出来ない理由
「ナイル師団長、
お水でも飲んで落ち着いてください。
そんなに興奮すると、
ますます酔いが回りますよ。」
エマはナイルに
水の入ったグラスを差し出すと
ナイルは顔を綻ばせ、
「お前は相変わらずいい女だな……
調査兵団なんかで働かせておくのは勿体ない。」
そう言って、グラスを置いた
エマの手を握る。
エルヴィンはすかさずナイルの手を掴み、
「エマに触るな。」
と、険しい表情で注視した。
「エルヴィンさん、
酔ってるだけなんですから
そんなに怖い顔しないで……」
「エマ……
君はそんな呑気なことを言ってるから、
こういう男に」
エルヴィンがそう言いかけた時、
「……気持ち悪い……」
と、ナイルが机に顔を伏せた。
「おい、こんなところで吐くなよ。」
エルヴィンは呆れたように言いながら
ナイルの腕を掴み立ち上がると
「気乗りしないが、仕方ない……
手洗い場まで付き添ってくる。」
エマにそう声を掛け、
ナイルを引き摺る様にしながら個室を後にした。
「……大丈夫かな。」
エマは不機嫌そうな
エルヴィンの顔を頭に浮かべながら
小さくため息を吐いた。