第46章 油断と出来ない理由
それから1時間ほど経った頃。
「エルヴィン!
お前は俺を憎んでるんだろうが?!」
ナイルの声が個室に響く。
「憎んでいないし、特に何とも思っていない。」
ナイルに強く肩を揺すられながら
冷静に答えるエルヴィン。
エマはそんな二人を見ながら、
「ナイル師団長って、
酔っ払ったら絡む体質なんですね……」
と、呟くように言った。
「君がいるのにも関わらず、
ここまで酔うとはな。
……かなり面倒なことになった。」
エルヴィンがため息を吐くと、
ナイルは再びエルヴィンの肩を掴み、
「おい!
やっぱりお前は俺が憲兵に入ったことを」
そう言いかけたところで
「もうその話は終わりだ。
取り敢えず席に着け。」
と、エルヴィンに手を引かれ、席に座らされる。