第46章 油断と出来ない理由
「さすがナイル師団長ですね。
こんな高級なお店、初めて来ました。」
お城の中にあるレストランの
個室に入って席に着くと、
エマは感嘆の声を上げた。
「キザな選択だな。
まぁ、お前らしくていいじゃないか。」
「何でお前は上から目線なんだよ?!」
エルヴィンの発言に、ナイルは声を荒げる。
エマはその様子を見て
思わず頬を緩めると、
「……エマ。すまないな。
こいつと顔を合わせると、
ケンカになりがちなんだよ……」
ナイルはそう言いながら
気まずそうに頭を掻く。
「いえ、いいなぁって思いました。
そういう関係。」
エマは隣に座るエルヴィンを
横目で見た。
「エルヴィンさんのそんな顔、
初めて見た気がします。」
「なんだ、私はそんなに悪い顔をしていたか?」
「おい、それはどういう意味だ。」
すかさず横槍を入れるナイルを見て
エマは小さく笑う。
エマの笑顔を見ながら、
ナイルは少し顔を綻ばすと
「ナイル。そんないやらしい視線で
エマを見るな。」
エルヴィンはナイルの笑顔を
怪訝そうな表情で見た。
「おい、誤解を生むような発言はやめろ。」
「誤解?ならお前はエマに
気がある訳ではないんだな?」
エルヴィンのその一言で、
場の空気が一瞬固まる。
エマはその空気を崩そうと、
「取りあえず注文しましょう!ね!」
そう言って二人にメニュー表を押し渡した。