第45章 突然のお誘い
「あの、それでだな。」
話が終わったと思って
歩き出そうとするエマを呼び止める様に
ナイルは声を掛ける。
エマはその場に立ち止まった。
「いや、詫びと言ってはアレなんだが……
なかなか料理のうまい店を見つけてな……
もし良かったら、
俺に奢らせてくれないかと思って……」
……もしかしてこれは、
食事に誘われているのか?
いや、でもさすがに、
自分に好意がある訳ではないだろう。
ナイルと色々あったのは、もう5年も前の話だ。
エマはそう思いながら、
顎に手を当てて悩み始める。
「……無理か?」
ナイルはエマの顔色を窺うように
穏やかな声で尋ねた。
「……二人きりで、ってことですかね?」
エマは、取りあえず
一番の問題点を投げかける。
あまり気心知れた関係ではないナイルとの
二人での食事は、息が詰まるような予感がした。
「いや、二人がダメなら、
友達を連れて来てくれてもいい。」
ナイルは少し声を張って答える。