第45章 突然のお誘い
「……ああ、ワインのことですか?」
エマはナイルからもらったワインで
エルヴィンが大変な事態に陥ったことを
思い出し、少し表情を曇らせる。
だが、あのきっかけがなければ、
自分はいつまでも中途半端なことを
したままだったかも知れない。
そんなことを思いつつ、
「大丈夫ですよ。
私はあまり飲んでなかったですし。」
と、ナイルを安心させるように笑顔を向けた。
「……だが、リヴァイと別れたんだろ?」
何でナイル師団長が、
そこまで知ってるんだ……?
エマは思わず訝しげな
表情を浮かべると、ナイルは
「いや、噂で聞いてな。
まぁ、もしそれが俺のせいだったら」
そう言いかけて、
「いえ、それはナイル師団長の
せいではないですよ。
私の気持ちの問題だったので。」
と、エマの言葉に遮られる。
「わざわざありがとうございます。
でも大丈夫ですから。」
エマはナイルが意外にも
律儀な人だったことに驚きつつ、
軽く頭を下げた。