第1章 名前で
エマは動揺を落ち着かせるように
浅い呼吸を数回繰り返すと、
「……リヴァイ。」
そう言ってすぐ顔を伏せた。
「悪くない。」
リヴァイは満足したように、
エマを抱きしめる。
「……すみません、やっぱり無理です。
図々しすぎます。耐えられません。」
エマがリヴァイの胸に
赤面した顔を押し付けると、
リヴァイはエマの手を握り、
「無理じゃねぇよ。
これからはそう呼べ。」
と、エマの指に唇を這わした。
「ちょ、ちょっと、待ってください!
このタイミングでそんなことされると、
嫌な予感しかしないんですが!」
「あ?俺がどのタイミングで
何しようと、勝手だろうが。」
リヴァイはそう言いながら、
エマの人差し指と中指を口に含んだ。