第1章 名前で
「なぁ。そろそろ俺に
さん付けはやめろ。」
リヴァイのいきなりの提案に、
エマは動揺で目を泳がせる。
「無理ですよ……恋人ですけど、
兵団の兵士長を呼び捨てなんて。」
「別に仕事中に呼べとは言ってねぇだろ。
二人でいる時くらい、名前だけで呼べよ。」
「無理です……」
エマはそう言いながら、
リヴァイに背中を向けた。
「呼ぼうともしねぇうちから、
そんなこと言ってんじゃねぇ。」
リヴァイはエマの肩を掴んだ。
「俺はお前に、名前だけで呼べるか?
って聞いてる訳じゃない。
いいから俺を、名前で呼べ。」
「強制的過ぎませんか……?」
エマはリヴァイの命令口調に、
ビクつきながら後ろを振り向く。
リヴァイはエマの腕を掴み、
自分の方を向かせると、
「おい。呼べ。」
そう言ってエマの目を見入った。