第42章 柔軟相手
次の日。
「エマさん、今仕事終わり?」
早番を終え、部屋に戻ろうとするエマに、
ジャンが声を掛けた。
「うん。ジャンは?」
「今日は非番。」
エマはそう言うジャンの手元を見る。
「非番なのに、
またトレーニングするつもりなの?」
ジャンの手には、
タオルと水筒が握られていた。
「……一日でも休むと、身体鈍るからな。」
ジャンは持ち物を隠すかのように、
手を後ろで組む。
「ジャンはほんとに真面目だよね。
ジャンのこと知れば知るほど、
意外なことだらけだよ。」
「それ、褒めてんの?けなしてんの?」
ジャンは微妙な表情を浮かべた。