• テキストサイズ

自由の翼を掴む話・2【進撃の巨人】

第7章 疑惑と予感と確信



「そうだ。
この本を君に渡そうと思って
ここに来たんだった。」

エルヴィンは思い出したかのように、
机に置いた分厚い本をエマに手渡す。



「これを、私にですか?」

エマはずっしりと重い
その本を手に取ると、ページを捲った。


「え、これ、
もしかして全部レシピですか?」

エマは思わず声を上げ、
本の内容を食い入るように見る。


「ああ。憲兵団の資料庫にあってね。
昔、今よりもっと食料難だった時に、
食材を出来るだけ無駄にしないで
料理する方法を記したものらしい。」


エマはエルヴィンに深く頭を下げ、

「すごく助かります……
正直、結構困ってました……」

と、ため息交じりに言った。


「そうだろうと思っていたよ。
団長の私の前では、君が強がることは
分かっていたからな。」

エルヴィンは嬉しそうに笑う。



「……相変わらず、私のことは
何でもお見通しですね。」

「君は分かりやすいからな。」

エルヴィンはそう言ってから、
本の中身を覗き込む。



「だが、このレシピは、
君の旨い料理とは程遠いかも知れない。
すまないが、」
「大丈夫です。これだけ食材の
使い方の参考があれば、少しの試作で
美味しくできると思います。」

エマはエルヴィンの言葉を遮り、
語調を強めた。



「いつもの、やる気が漲る君が
戻ってきたようだな。」

「料理のことが関係すると、
やっぱり気持ちが高ぶりますね。」

「それなら良かった。」

エルヴィンはそう言って立ち上がった。

/ 613ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp