第38章 諦めない権利
「え、エルヴィン団長……」
声の主が分かり、
ジャンは一気に青褪める。
だが、それと同時にエルヴィンが
自分の自慰を手伝っている光景を想像してしまい、
すぐに赤面し、顔を伏せた。
「なんだ、私にして欲しかったのか……?」
エルヴィンは追い討ちをかける様に、
ジャンの腰を引き寄せる。
「ちょ、あの、
二人はどういう関係なんですか?」
エマは二人のその姿を見て、
挙動不審に問いかけた。
「ど、どういう関係って、上官としか」
「そうなのか?君は私のことを、
上官としてしか見てくれていないのか?」
言葉を遮ったエルヴィンは、
ジャンの背中にゆっくり指を滑らす。
ジャンは反射的に身体を震わせ、
「す、すみません……
もう、ほんとに、やばいんで、
からかうのやめてもらって、いいですか……?」
と、弱々しい声でエルヴィンに訴えた。
エルヴィンは思わず吹き出すと、
「すまない。君の反応が面白くて、
つい止まらなくなったんだ。」
そう言ってジャンの肩を軽く叩いた後、
横目でエマを見る。
「エマ。
何故君がそんなに赤くなるんだ?」
エルヴィンに問いかけられ、
エマは思わず顔を手で隠し、
「エルヴィンさんがあまりに官能的すぎて……
ジャンがこのまま抱かれるんじゃないかと……」
と、小声で言った。
エルヴィンは笑いながら
ジャンの肩に手を置くと
「そうだな。
ジャンが私を求めてきたら、
考えないこともないな。」
そう言ってジャンの顔を覗き込む。