第38章 諦めない権利
「……っ!ちょ、あの、
それについては何とも……、
それより、その手が、」
「……なに?
いやらしい気分になって来た?」
ジャンは頬を緩め、
エマに顔を近付ける。
「いや、待って。
ここ、まだ結構人いるからね?」
エマは横目で手当をしてもらっている
兵士たちに目を向けた。
「人いなきゃ、続きしてもいいの?」
ジャンはエマから一切目を離さない。
「そ、そういう訳でもないんだけど、」
エマは突然のジャンの誘惑に
戸惑いを隠しきれず、上擦った声を出し
自分の太腿を摩るジャンの手を掴もうとするが、
「なぁ、包帯巻いてるフリしてくんないと、
あいつら何してんだ?
って話になるんじゃないの?」
そのジャンの言葉を受け、
手を止める。
ジャンが積極的過ぎる。
しかも、目が真剣すぎて合わせられない。
エマは混乱した脳内を落ち着かせようと
目を瞑るが、ジャンのいやらしい指使いが
自分の体温を急激に上昇させ、
落ち着く暇を与えてくれない。