第38章 諦めない権利
「でも兵長も団長も、その間ずっと
エマさんに言い寄ってくる訳だろ?」
「……なかなか単刀直入に聞くね。」
エマは少し驚いた表情でジャンを見る。
「そりゃな、俺だってこんなチャンス
もう二度と来ないだろうから、
ぐいぐい言い寄りたいぜ?」
ジャンはそう言いながら
エマに詰め寄るが、
「でもこれだけ混乱してるエマさんを
強引に誘うのはなんか違う気がするし、
エマさんが可哀想な気もするんだよな……」
と、小さくため息を吐いた。
「なんかジャンが一番大人な気がしてきた……」
エマは思わず頭を抱える。
「私なんか勝手に混乱して
股掛けみたいなことして、みんな振り回して……
精神的にも肉体的にも暴走しっぱなしだし。」
ジャンはそう言うエマを見て少し笑うと、
「と言うか、エマさんがモテすぎだから
こんな状況になったんだろ……
倍率高すぎて、この恋叶わないのが
当たり前くらいに思っちゃうんだけど。」
そう言ってエマの手に優しく触れる。
「でも諦めるには、
エマさんのこと、
まだまだ好きすぎるんだよな。」
ジャンの言葉は、自分には勿体なさすぎる。
エマはそう思いつつ、俯いた。