第6章 縋れる相手
「エルヴィンさん、何か知ってるんですか?」
「何でそう思うんだ?」
エルヴィンは少し笑う。
「……分からないですけど、
なんか、エルヴィンさんは
何でも分かってる気がするんです。」
「私はそんな大そうな人間ではないよ。」
エルヴィンはエマの頭を撫でた。
「私は知ってるフリが上手いだけだ。」
「……知ってるフリ?」
「ああ。
そうじゃないと、君が不安になるだろう?
……だが、リヴァイが君のことを泣かせる時は
大体君のことをすごく大切に
想っている時だと思うんだ。」
エルヴィンの声は、優しく、
エマは思わず目を瞑る。
「彼は不器用だからね。
君を大切に想う気持ちが、
時に君を拒むんだろう。」
エマは今までの出来事を思い出し
また突き放されるのではないかと、
不安な気持ちが生じた。