第37章 欲しい未来
兵士の手当が少し落ち着いてきたとき、
エマは夕食の準備をする為、
早足に食堂へ向かう。
既に太陽は完全に沈み切り、
それにより自分が半日以上も
講堂で過ごしていたことに気付く。
必然的に調理する時間は少なくなり、
効率よく料理する手順を考えながらも、
頭の中は大半が、リヴァイの今の状態を
心配する気持ちで占めていた。
その時。
「エマ。」
後ろから、今まさに会いたいと
思っていた人に声を掛けられ
勢いよく振り向く。
「リヴァイさん、おかえりなさい。」
エマはそう言うと同時に、
リヴァイの手を強く握った。
「……ああ。」
リヴァイはそれだけ言うとエマを強く抱きしめ、
「今晩は帰りが遅くなる。
……だが、俺の部屋で待って居てくれるな?」
と、疲れを隠すような優しい声で言った。
「はい。勿論です。」
どうしたらリヴァイの憔悴しきった心を、
身体を、癒せるのだろうか。
エマはそう思いながら、
強くリヴァイを抱きしめた。