第37章 欲しい未来
数日後、調査兵団が基地に帰って来た。
新たな軌道を模索し、
拠点の設置をすることを主とする
調査だったこともあり、
死傷者の数は前回の調査を上回り、
料理人も手当に追われることになる。
基地で一番広い講堂は
怪我人の治療室として使われ、
エマはそこで兵士の手当をしていた。
「またやっちゃったよ……」
ジャンはそう言いながら、ため息を吐く。
「……かなり痛々しいね。」
エマは目を細めながら、
ジャンの右腕の傷に消毒液をかける。
奇行種から逃げる最中、
他の兵士を助けた際に落馬したらしく、
右腕は酷く擦り剥き、
筋肉が露出しかかっていた。
「……ごめんな。
こんな傷、手当するの、
さすがに気持ち悪いよな……」
ジャンは痛みを我慢するように、
拳を握りしめた。