第36章 自分の意思
「んっ……、
ちょ、ま、待ってください!」
エマはエルヴィンの胸を
強く押し離した。
「どうしたんだ?」
「……いや、急に盛るの、
やめてもらえますか?」
エマはそう言いながら息を切らす。
キスされたかと思ったら、
いきなり口内に舌を捩じ込まれ、
舌で口内を弄られた。
あまりの強引さに、鼓動も早くなる。
「一応、まだ病人のつもりなんですけど……」
「だからそれなら、
移してくれればいいと言っているだろう?」
エルヴィンはそう言うと、
再びエマの唇を奪った。
「ちょ、その言い分、おかしいですから!」
エマはすぐに顔を背けると、
エルヴィンを横目で見る。
「なんだ。
したくなるから、キスはダメなのか?」
エルヴィンはエマの耳を
手で優しく摩りながら言う。
「……っ……いや、と言うか、
誰かの恋人になるつもりはないからって、
誰にでも身体を許すって訳では
ないんですけど……」
エルヴィンは少し考え込むように
目を瞑ると、
「そうか。それなら私にだけ
身体を許してくれたらいいだろう。」
そう言って、エマの唇を指でなぞった。
エマは一瞬考えるが、
「……え、その言い分も、
おかしくないですか?」
と、エルヴィンの目を見入る。