第36章 自分の意思
「君は、決断したんだろう?」
エルヴィンのその問いかけに、
「はい。
……きっと、エルヴィンさんが
思っている通りの決断です。」
と、笑って見せる。
「そうか。それなら、私にも
またチャンスが巡って来た、という事だな。」
エルヴィンは嬉しそうに笑うと、
エマの髪を撫でた。
「それについては
否定も肯定もしないですが……
自分の気持ちが安定するまでは、
誰の恋人にもならないです。」
「……そうか。」
エルヴィンはそう言いながら、
ベッドの淵に腰掛けた。
「リヴァイさんに伝えるのだけが
心苦しいですけど、
調査から帰って来て、
リヴァイさんも落ち着いた頃に
伝えようと思います。」
エマは小さくため息を吐く。
「色々振り回してばかりですみません……」
「今更そんなことを謝らないでもいい。
今まで君には
散々振り回されてきたからな。」
エルヴィンはそう言いながら笑った。
「だが、それは私も同じことだ。
……君の心が揺らげばいいのに。
と、心のどこかで思いながら
いつも君に接していた。」
エルヴィンは首筋に手を当て、
「……すまなかったな。」
と、ため息を隠すように小さく笑った。
エマはエルヴィンの手に触れ、
「今更そんなこと、謝らないでいいですよ。」
と、エルヴィンの真似をして言う。
エルヴィンは優しい表情で
エマを見つめると、
「……そうか。
では、もっと振り回させてくれ。」
そう言って、エマに唇を重ねた。