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自由の翼を掴む話・2【進撃の巨人】

第35章 揺れ動き続ける





それから数日間、
エルヴィンとエマは別々に行動する。


顔を合わせれば、挨拶をし、
たわいもない話をするが、
それ以上の接触は控える。


それぞれに互いのことを考えつつも、
それと同時に“距離を置くこと”
の重要性にも気付いていた。






そんなある日。


「エマ。熱あるんじゃないの?」

サラは厨房でじゃがいもの皮を剥くエマに
声を掛けた。


「ああ。そうだね……
確かにちょっとダルいかも。」

エマはそう言いながらも、
手を止めず皮を剥き続ける。



実際熱は3日程前から出ていた。

だが、仕事を休むほどの熱でもない上、
兵団の基地で独りで寝て過ごすなんてことを、
今の精神状態で出来るとも思えなかった。


今はまだ、
独りで考えられる気持ちにはなれない。



「でも、結構顔赤いけど。
熱測ってみたら?」

サラはそう言いながら、
エマの手元のじゃがいもを取り上げた。


「いいよ。多分微熱だし。」

「そんなこと言ってたら、ずっと治らないよ?」

サラは明らかに紅潮している
エマの顔を見て、

「やっぱり絶対熱上がってるよ。
今日はもう帰りなさい!」

と、エマの背中を押した。



「………帰らなきゃダメ?」

「なに、帰りたくないの?」

「うーん……
そう言う訳じゃないんだけど……」

エマの曖昧な答えに、
サラはため息を吐くと、

「取りあえず、帰って寝なよ。
周りに風邪移してもいけないし。」

そう言ってエマの肩を叩いた。


エマは納得したように頷くと、

「……そうだね。そうする。」

そう言いながら、エプロンを脱ぐ。



「基地にはエルヴィン団長だっているんでしょ?
もし困ったことがあったら、
ちゃんと頼るんだよ?」


サラのその言葉に、エマは小さく頷き、

「ごめんね。
早く復活して戻ってくるから。」

と、声を掛け、厨房を後にした。

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