第34章 魅かれた女性
「彼女は料理が特別うまかっただろう?
初めてスープを飲んだときに
衝撃が走ったんだよ……
完全にただの一目惚れだ。」
話し終えると、ナイルは乱暴に頭を掻きむしる。
「……そうだったのか。
では、リヴァイと同じか。」
「は?リヴァイ?!
そう言えば、元々彼女は
リヴァイと付き合ってたらしいな。」
エルヴィンはそう言うナイルの顔を見入って、
「いや。
今も彼女はリヴァイの恋人だ。」
と、少し声を大きくして言った。
ナイルは一瞬言葉を失い、立ち竦むが
「……いや、まさか。そんな噂は」
そう言いかけて、
「憲兵団は、
いつも噂が巡るのが遅いんだよ……
俺はかなり前に彼女と別れている。」
エルヴィンの言葉に遮られる。
「え、それなら俺は
とんでもないことをしたってことか……?」
ナイルの顔は一瞬にして青褪めた。
「そうだな。
もしこのことがリヴァイに知れたら、
殺されるどころの騒ぎではないだろう。」