第34章 魅かれた女性
次の日。
エルヴィンが憲兵団の基地に着くと、
後ろからナイルに声を掛けられた。
「おい。一昨日は楽しめたのか?」
含み笑いをするナイルからのその一言に、
エルヴィンは深くため息を吐く。
「……なんだ。
やりすぎて腰でもいかれたか?」
そう冗談めかして言うナイルに、
「腰どころか。
もう心がボロボロだよ……」
と、再びため息を吐いた。
「おいおい。そんな乱暴に抱いた」
「ナイル。お前もエマに
気があったようだな。」
ナイルの言葉に被せる様に、
エルヴィンは言い放つ。
「な!なんだ、急に!」
「……確かにお前のタイプの女性だな。」
エルヴィンはナイルを横目で見た。
「小柄で綺麗な顔立ちをしていて、
いつも穏やかな笑顔を浮かべているが
中身は芯が通っていて、
自分の意思をちゃんと持っている。
かと思えば涙脆い一面もあり、そこがまた」
「おい!ちょっと待て!」
ナイルは少し赤面して、
エルヴィンの発言を遮る。
そして、
「……お前の言いたいことは分かるが、
俺が彼女に惹かれていた理由は
そんなところじゃねぇよ。」
そう言うと、少し顔を伏せた。