第33章 心に触れるたび
「………同じじゃないですか。」
エマは呟くように言うと、顔を上げ
「私もエルヴィンさんの温かくて
優しい心に触れる度に、
揺らいでるんですから。」
そう言って、少し笑った。
「結局、お互い同じようなことで
悩んでたみたいですね……」
エルヴィンはエマの髪を
優しく撫でてから、
「そうだな……」
と、静かに言い、エマから手を離した。
「私たちは近くに居すぎたのかもしれない。
……これからは少し、距離を置こう。」
エルヴィンの目は真摯で、
決意を感じられる。
「……はい。」
エマはそれだけ言うと
エルヴィンから少し離れ、
「とりあえず、
お昼ごはん冷めちゃったんで
温め直してきますね。」
と、精一杯の笑顔をエルヴィンに向けて、
厨房へ向かった。