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自由の翼を掴む話・2【進撃の巨人】

第33章 心に触れるたび



「大丈夫だ。
私はそんな卑怯な真似をするつもりはない。」


なるべく平然を装おうと
冷静な声で話すエルヴィンに、

「……卑怯とは思わないですが、
理由を聞いて、
心が揺らがない自信はないです。」

と、エマは正直に言う。


「そのくらい、
さっきのエルヴィンさんの話は
容易に思い描くことが出来ました……」


エルヴィンは小さくため息を吐くと、

「……そうか。
そう言ってもらえて嬉しいよ。」

そう言って、立ち上がった。



「エマ。少し部屋で頭を冷やしてくる。
君にこんな姿は、もう見せたくないんだ。」


エルヴィンの穏やかな声は、
エマを安心させるために
作られた声に聞こえる。



エマは思わずエルヴィンの右の袖を掴むと、
その反動でエルヴィンは一瞬
エマの方を向いた。


露草色の瞳は少し充血していて、
それを隠すかのように、
エルヴィンは目を瞑る。



エマは立ち上がると、
エルヴィンを強く抱きしめた。

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