第32章 結婚予想図
「私は君を抱えてベッドに行き、
君の寝顔を見ながら眠りにつく。」
エルヴィンはそう言って、
嬉しそうに笑った。
「次の日の朝、私は目を覚ますと、
香ばしい匂いに誘われてリビングに行く。
君は私の好きなコーヒーブレッドと、
君の好きなドライフルーツが入った
カンパーニュを焼いて、
私が目覚めるのを待ってくれている。」
エマは目を瞑ったまま、
その光景を想像し、思わず笑みがこぼれる。
「……そして、私が二人分の
コーヒーを入れて席に着くと、
君は焼き立てのパンと、
いつものスープをテーブルに置き」
エルヴィンはそこまで言ったところで、
言葉を止めた。
エマは目を開けると、
突然黙りこんだエルヴィンの方を向き、
「どうしたんですか」
そう言いかけて、言葉を失った。