第31章 プロポーズ
「エマが憲兵団で働いている時に、
ナイルと深く関わることはあったのか?」
「……なかったと思います。」
エマは返事をしながら、
憲兵団で働いていた当時のことを
少し思い出し、
心ともなくため息を漏らす。
「ナイルには口説かれてないのか?」
「な、何でそう思うんですか?」
エルヴィンの突拍子もない問いに、
エマは思わず問い返した。
「いや。なんとなくだ。
違うならいい。」
エルヴィンはエマから目を逸らす。
「……口説かれてない訳ではないです。」
「口説かれたのか?!」
エマの一言を受け、
エルヴィンは声を上げた。
「そ、そんなに驚くことですか?」
エマは突然のエルヴィンの大声に、
目を見張る。
「すまない。
まさかこんな憶測が当たるとは
思わなかったんだ。」
エルヴィンは少し声量を下げた。
「と言うか、
私も全然気付かなかったんですけど……」
「………どういうことだ?」
エルヴィンは不思議そうに
エマに目を向けると、
エマはバツが悪そうに話し始める。